観音様

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いつもの散歩コース。
あまり人通りがないところに、木彫りの観音様が祀られていて、
通る時には、立ち止まって手を合わせるのが日課。

ある時から、「疫病退散祈願」のお札がはられるようになり、
そのうち、「自由にお持ちになってご自宅でお祈りしてください」と、同じお札が数枚、置かれるように。
(なくなると、補充されている)
すると、「お札、いただきました」というメッセージがひとつ、もうひとつ、
祠のところに添えられ、
昨日は、食パンが供えてあった。
今朝は、おりづるも増えて、賑やかになりつつある観音様のまわり。

知らない人同士の、静かな交流がある。

この観音様まわりを、いつもきれいに掃き清めて、
お花を活けている男性を、知っている。

ダンディで、低い素敵な声で「おはようございます」と声をかけてもらうと、
なんだかすがすがしい気持ちになる。


# by naomiabe2020 | 2020-05-09 12:12 | 日々のこと | Comments(0)
玄関の扉を開けるなり、娘が勢いよく言った。
「ねー、おかーさん、庭にネギ植えた?」
はあ?
「だってさ、植わってたよ。ネギ」
植えてないよー。
「じゃあ、誰が植えたんだろ。もしかして、Sさんとか?」
なんで、Sさんが我が家の庭にネギ植えるのさ。

お向かいのSさんは、自分の所に咲いている野の花を、いつもくださる。
「お宅でも植える?」と、根っこごと引き抜いた矢車草とかをくれる。
つい最近は、裏庭で採ったというフキもいただいた。
(サトルとうちゃんが炊いて、美味しくいただいた)
でも、ネギはねえ・・・

庭に出て娘と確認したら、それは水仙の葉だった。
冬に咲いた水仙の葉っぱが、ぼーぼーに伸び、
それを私は、この前紐で結わえた。
伸びた葉を、くるっと丸めて紐でしばったのだ。
前に、ベニシアさんがやってたのをテレビで観たのだ。
最近近所を歩いていて、庭師の人がそれをやってるのを見て、
「あれをするなら、今だ!」と。

確かに、かなりザツで不格好。
だから、写真は撮りません。

だからって、ネギとは・・・・。





# by naomiabe2020 | 2020-05-06 11:35 | 日々のこと | Comments(0)

ソラマメのパスタ

本日のランチ。
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千葉のSさんからいただいた、ソラマメ。
青々として、ぷっくり膨らんだソラマメを前に、がぜん張り切るサトル父ちゃん。
「昼はパスタだ!」と朝から宣言。
おっと、待てよ。料理にとりかかる前に、
せっかくのソラマメを編集のNさんにもお裾分けしよう、とチャリでひとっ走りして
近所のNさんの玄関先で手渡し、
お返しに、と焼きたてのフォッカチャをいただいてきた。

千葉のSさんは、今年体調を崩してしまって
「あたしは、この春全然ソラマメをかまってやれなかったんだよ」とのことで
畑仕事は旦那さんがほとんどやったそうだ。
でも、電話の声は馴染みのあるいつもの明るさで、ほっとした。

Sさんのことを思い出しながら、家族みんなでおいしくソラマメのパスタをいただいた。
Nさんの奥さんが作ったフォッカチャも、塩味がきいてこうばしくてサイコーだった。

飲み物は、ビールに見えるがさにあらず。
去年仕込んだ、梅ジュース。
もうちょっとしたら、今年の梅が出てくるから、その前に去年の分を飲んでしまうのだ。






# by naomiabe2020 | 2020-05-05 18:07 | 食べること | Comments(0)

現在「3校」中。

自分の書いたものに、目を通している。
初校、再校、とこれまで2回、校正者さんが原稿を見てくれて、
これは3校目、最後のゲラチェック。
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初校、再校の時、編集者のUさんと一緒に、
1ページずつめくりながら、言葉を確認し合った。
校正者さんの指摘、私が入れた赤字、Uさんの疑問、
それを、ちゃんと反映できるように、Uさんが丁寧にゲラに書き込んでくれた。


これまで、ずっとひとりで机にかじりついてきた。
仕事机の窓から見える、お隣りさんの柿の木を、いつも眺めてきた。
「あとがき」原稿であたふたしていた頃、新緑になり、
気付けば今、青々と茂っている。
この木は、秋になるとたんまりと実がなって、
鳥が来て実をつつく。紅葉して、散って・・・
それを、何度も何度もひとりで眺めながら、やっと書き上げた原稿だ。
いったい、何年越し?の初めての、書下ろしエッセイ。
自分自身の、これまでのことをようやく文章にできた。

ずっとひとりで、悶々と書いてきたものを、
編集者のUさんが同じ側にきてくれて、手を入れる作業を一緒にしてくれる。
本を作るなかで、何よりも幸せを感じる段階だ。

「キャンディーバー」って書いたけれど、それって何かわかります?
スニッカーズとかのことだけど。
え? キャンディーかと思った。飴じゃないの?
じゃあ、チョコレートバーってしたら、イメージつきますかねー。

そういうやりとりだって、嬉しいのだ。

どこに「、」を入れるか、
「かわいそう」を、漢字の「可哀想」にするか、
「達」は「たち」とひらがなで統一するかどうか。

ページをめくって、言葉の断片から思い出したことを振り返って、
Uさんと共有する。
そういう時間が、幸せだ。
なぜなら、ずっとひとりで書いてきて、何もかも自分の中に閉じ込めてしまっていたから。
孤独で、ある意味不安で、本当にこれを本にする意味ってある? と思えてくるから。

5月28日刊行の予定が、コロナの影響で6月11日刊行に。
岩波書店から「おべんとうの時間がきらいだった」

家族についての、記録。









# by naomiabe2020 | 2020-05-04 16:09 | ライターの仕事 | Comments(0)

イカンテを食す

ごはんが、すすむ。ぽりぽり、止まらない。



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今年も、宮崎のミネさんからいただいた「イカンテ」。
このところ、「おべんとうの人」からすっかり「台所の人」になっているサトル作の逸品。
この前作った時に、娘が「こりゃ、やばい。すごいおいしー」と絶賛したもんだから、
再度、今度は切干大根バージョンとともに、作ってくれた。
甘酢と、粉末のとうがらし(キムチ用に前に買ったやつ)
石垣島で買ったラー油などで味付け。(とのこと)

イカンテとは。
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大根なのである。
切干し大根よりも、もっと大きく切ったもの。

ミネさんが、奥さんと、96歳のミネコおばあちゃんと一緒に作る。
冬、そろそろ冷たい風が吹いてきたぞ!という季節になると、
自分の畑で作った大根を掘ってきて、家の前の作業場で家族総出で洗い、ひとつひとつ薄切りに切る。
それを、裏山で干すのである。
木と木の間に紐をわたして、そこに揺れる大根。
イカの手、みたいに見える。イカの手が、「イカンテ」に。
裏山で風に揺れるイカンテを見た時には、感動した。
ぽらん、ぽらん、風に揺れると、いいイカンテになる。

ミネさん家族の顔と、あの裏山を思い出しながらいただく。








# by naomiabe2020 | 2020-05-03 16:47 | 食べること | Comments(0)

フリーライター阿部直美のブログ。カメラマンの夫とともに、「お弁当」を追いかけて日本全国を旅しています。日々のちょっとしたことを綴るブログです。


by 阿部直美