カテゴリ:ライターの仕事( 8 )

無事、本の刊行となった週末、娘の学校の保護者会の帰りに書店へ。
これほど、ドキドキする瞬間はない。同時に、怖い。
大型書店ならば、置いてくれているはず、と思うのだが、もしなかったら? どの棚か? と心がざわざわする。

まずは、いつもデパートで買い物をした時に立ち寄るS書店。
いつも寄る、ということは個人的に好きな書店ということで、勝手に期待が高まるのである。
あれれ? ないよ。
先週、岩波書店の広告が朝日新聞に載った時、同じ6月刊行に沢木耕太郎さん「星をつなぐために」や、
木内みどりさんの「またね。」が同じ広告ページに並んだ。
沢木さんのご本は、沢木耕太郎セッションズ「訊いて、聴く」の4部作の最終巻の4部目。
特別コーナーに、ずらっと素敵に並べてあった。
木内さんのご本も、平積みで。
それぞれ、ノンフィクション、エッセイの本が並ぶ一角にあった。
やはり、この場所に置いて欲しいと願っていた私は、この時点でちょっとしょげる。
ふと、移動式カート(これから本を並べるための本が置いてある)を見ると、
自著「おべんとうの時間がきらいだった」が、何冊もカート上に置いてあった。

おお、まさしく今、書店員さんが本を並べようとしている!
なんて運がいいんだろう、と思いながら、ちょっと離れた位置から見守ることにした。
ちらり、ちらり。

ちょっと一周してくるか、とあたりを一巡りしてから戻ってくると、
カートの中に自著がない。
ところが、私がこのあたりか、と考えていた置き場所にも自著はない。
どこにもない。

むむむ・・・・。予感がして、検索をかけてみたところ、
上の階の、料理本コーナーに置かれていることが判明。

それは、「おべんとうの時間」(木楽舎)1~4が置かれてある、
いわば私にとっては馴染みのある、コーナーだ。
そこに、料理本や料理エッセイと並んで、自著が平積みされていた。
もう一か所、実用書の新刊コーナー(この存在は知らなかった)にも。
クッキング本や、チコちゃん本、片付け本などと並んで、自著があった。

「おべんとうの時間」の著者である私にとっては、
その本がある場所に、「おべんとうの時間がきらいだった」を並べていただくことは、ありがたい。
なぜなら、どっちも売れたらいいな、と思うからだ。姉妹版ともいえる。
「おべんとうの時間」を読んでくださっている人、おべんとうとか料理に興味がある人が、
この本を手に取ってくれるかもしれない。

しかし、今回の本は、料理エッセイではない。
そう思って手に取ってもらったら、最初からげげげ、と引いてしまって読み切れないかもしれない。
話が違うよ、と怒りたくなるかもしれない。

今回は、「読み物」というカテゴリーで本を出したかった。
料理エッセイというくくりではなく、家族について書いた本だ。
だからこそ、文芸のコーナーに置いて欲しいと願っていたし、
本の装丁を考える時も、「読み物」を意識した。

文芸のコードで配本されたものだから、文芸コーナーの移動式カートの中に最初はあったのだろうが、
それを、きっと気を利かせた書店員さんが、料理本コーナーに持って行ってしまったということだろう。

私自身が、S書店のノンフィクション、エッセイなどの文芸コーナーに対する思い入れが強いもんだから、
よけいに、ショックなのだろうな。
あの場所で、自分がいろんな本に出合ってきたように、誰かがこの本に出合ってくれたら嬉しい、という思いが強かったから。

本屋さんは、毎日すごい数の本が入ってくるなかで、置き場所には相当苦慮しているだろうと思う。
だから、それを思うと頭が下がるし、私など無名ライターだから大きなことなんて言えないのだけれど。

しょんぼりしつつ、J書店へ行くと、
こちらも料理本コーナーに置いてくださっていたのだが、
入ってすぐの大きな棚にも、並べてくれていて、嬉しくなった。
悩ましき、本屋さんの置き場所_c0402074_12224464.jpg
斜め下に、沢木耕太郎さん。
そして、その隣は私が今読んでいる大好きな内田洋子さんの「サルデーニャの蜜蜂」が!

あちこちの本屋さんに行きたいけれど、
同時に怖い。
本屋の棚で挙動不審な人がいたら、それは私です。








by naomiabe2020 | 2020-06-17 13:07 | ライターの仕事 | Comments(2)

本日、エッセイ本が刊行

岩波書店から「おべんとうの時間がきらいだった」本日刊行。
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本日、エッセイ本が刊行_c0402074_10281033.jpg
おととい、編集のUさんが見本本を抱えて来てくださり、うちの最寄り駅近くのカフェで受け取る。
じゃーん、と本を開いた時、なんとも言えない気持ちに。

これまでは、雑誌に連載したものを、書籍にまとめるパターンだった。
それだって、いざ書籍にするとなると文字数を整えるために昔のインタビューを引っぱりだしてきて付け加えたり書き直したり、
登場いただいたひとりひとりに確認の電話を入れたり、やることは山積みで、
いざ本にまとまると、感無量になる。

ただ今回は、誰かを取材したものではなく、
向き合うべきは、自分自身。
連載していたものではなく、書きおろしだ。
誰から発注を受けたわけでなく、本にしたい、という思いだけでえっちら、ほっちら、書いてきた。
本を出版できるか、できないか以前に、岩波の編集者Uさんに、原稿を読んでもらいたい、という思いで書くことができた。
Uさんは、岩波新書の担当で「里の時間」を上梓した時にお世話になった。
Uさんの存在に、どんなに助けられたか。
誰かがいてくれる、ということが、どれほど力になることか。

本日、エッセイ本が刊行_c0402074_10281497.jpg
さて、表紙。うちの娘が小さかった頃の写真を夫に探してもらった。
候補をしぼって、
プリントアウトしたものを、他の人の本の表紙をはがしてつけかえた。
自分の部屋の本棚に並べてみたり、リビングの目につく場所に置いたりして、
何日も一緒に過ごす。
おもしろいもんで、写真で見るのと、本の表紙として見るのでは、
イメージが違うのだ。
Uさんも、私と同じようにして何日も考えてくれて、
お互いに一致したのが、「おにぎりをほおばる娘」の表紙だった。

なんだかんだ言いつつ、
夫、娘の気配を感じる、阿部家の本となった。


by naomiabe2020 | 2020-06-11 10:56 | ライターの仕事 | Comments(4)
午前中、普通に使えた仕事場のパソコン。
午後、電源を入れたら、画面がちらちら始まり、
まるでホラー映画のはじまりの場面、みたいな状況になって、制御不能。
ぶっこわれてしまった。

前触れが特になかったもんだから、
最近の原稿など、ハードディスクに保存できていないもの多数。
それでも、最近の仕事の原稿は納めた後だったので、
1から新たに書き直す、という事態にもならず。胸をなでおろす。
あああ、本当にあせった。

この仕事、パソコンなしでは過ごせない。
修理には1か月くらいかかるらしい。
とほほ・・・・仕方なく新しいものを買いにヨドバシカメラへ。
夫の車に乗せてもらって、さて出発! となったら、車が変な音を立ててエンジンが止まってしまった。
あれれ? 車も壊れた?
どうした? お祓いが必要か? と一瞬にして凍り付きそうになる。
祈るようにして、再度エンジンをかけると、平常に戻る。

しかも、最近は例のリビングの時計がずれた時間を指しながら、ふつーに動いている。
あんた、電磁波の時計だろうに、と思う。
思ってたら、またなおった。

いろいろが、変である。

でもまあ、いっか。

ホームページのリニューアルをYさんにお願いしていて、
ついに、公開の日を迎えることができた。
Yさんに感謝。
新しいパソコンで、新しいホームページを見られてよかった。

これからは、「ひるけ」として阿部了のホームページに私も割り込ませてもらうことになった。
みなさま、どうぞよろしく。







by naomiabe2020 | 2020-06-09 14:22 | ライターの仕事 | Comments(2)

表紙のこと

本の表紙をどうしようか、というのは最高にわくわくする作業だ。

例えば、「おべんとうの時間」(木楽舎)シリーズの場合は、弁当を食べる人のポートレート写真がどかーんと一面にくる。
「手仕事のはなし」(河出書房新社)では、福島県で張り子人形を作るアサさんの写真。
座布団の上にちょこんと座って、人形つくりをする94歳のアサさんは、その存在感がすごかった。

つまりこれまでの本は、阿部了の写真ありき、で表紙が決まった。

しかし今回は、エッセイだ。
「好きにしていいですよ」と岩波の編集Uさんに言っていただき、
さて、私はどんな本が好きだったっけ? と考えた。
本屋に行って、平積み本を片っ端から見る。
改めて表紙ばかりを見ていると、これが好き! というのが案外見つからない。
インパクトはあるな、とか、面白いデザインだな、とは思っても、それ以上ではない。

じゃあ、普段私はどんな本を手に取るんだろう?
なんか、目が合う本っていうのがあるのだ。
手にとってぱらぱらっと見たくなる本。
でもそれは、好きなタイプの絵やデザインっていうわけでもない。

「おべんとうの時間がきらいだった」が、新刊のタイトルだ。
ひとつ言えることは、「べんとう」を表紙にしないこと。
これだけは、最初から決めていた。

好きなもの、好きな雰囲気・・・・・と考えていて、
酒井駒子さんの本を見つけた。
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表紙のこと_c0402074_15311295.jpg
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彼女の描く絵は前から好きだったけれど、あらためて見ると、
彼女の描く少女や少年が好きだと思った。

実は、今回の新刊エッセイに関して、表紙に写真を考えたことがなかった。
それまでに出した本が、ごく当たり前にサトル君の写真が表紙だったせいもあって、
今回は、読み物として違うものにしたかった。

絵がいいのかな、じゃあどんな絵? と考えるうち、
私がイメージするのは、結局は少女なのだった。
女の子。つまり、それは私だ。

そんな時、「娘さんの写真は?」と、Uさんから提案され、
おおっ!と思った。
そうだった。そうだった。実はそれが、あったっけ。

べんとう旅を一緒にしてきた娘。
よちよち歩きの時から、いつも旅巡業は一緒だった。
彼女の姿は、かつて少女だった私にもだぶる。

というわけで、表紙まわりは写真となった。
決まってみると、なるほど、この本にはこれだったな、と思う。

今週、表紙の色校が出て、ようやく新刊の顔が見えてきた。
あと一歩。







by naomiabe2020 | 2020-05-22 16:12 | ライターの仕事 | Comments(0)

新刊のこと

6月に岩波書店から出る新刊の案内が届く。
「おべんとうの時間がきらいだった」6月11日発売予定。
新刊のこと_c0402074_11050800.jpg
実は、5月号の新刊案内にも掲載されている。
本当は5月27日刊行の予定だったので。
その時は、井上ひさしさん、沢木耕太郎さんの間に挟まれていた。
なんとも、恐れ多い!
コロナの影響で、急きょ出版が延期となり、
6月号の案内では、お隣りさんがダニエル・エルズバーグ氏。
無知すぎる私は初めてお聞きする名前だったが、
世界で最も有名な内部告発者、核戦争計画者とのこと。
これまた、すごい方だ。(勉強せねば)

ようやく昨日、表紙まわりの色校が出て、
最終段階に入る。
写真の色合いがちょっと気になるので、
再校を出してもらうことに。
ひとつひとつ、の作業がうれしい。
もうすぐだ。









by naomiabe2020 | 2020-05-20 11:30 | ライターの仕事 | Comments(0)
翼の王国5月号の「お弁当の時間」は、やんばるの森から_c0402074_13164778.jpg
今年最初の弁当旅が、沖縄北部の「やんばる」の森だった。
お正月があけてすぐの頃、自然保護官の小野さんのおべんとうを取材。
あの頃はまだ、コロナの脅威なんてなかった。

5月は、木々の緑も濃くなる頃で、
爽やかでお出かけしたくなる季節。
小野さんの記事を、飛行機の上でいろんな方に見ていただきたかったのだけれど、
まだ飛行機があまり飛んでいないようなので、悲しい。
https://www.ana.co.jp/ja/jp/mediastation/magazine/backnumber.html
こちらから、バックナンバーが見られます。
ただ、5月号がアップされるのは、もう少し先のようです。

翼の王国5月号の「お弁当の時間」は、やんばるの森から_c0402074_13180892.jpg
小野さんの食事場面。
夏以外、この川のせせらぎを聞きながら、が小野さんのおべんとうタイム。
小野さんは、子どもの頃に「すずめ」の魅力にはまり、
大学院生になると、海鳥の「カンムリウミスズメ」に研究対象がシフトして、
なんと、ひとりで無人島に渡ってサバイバルな日を過ごした、強者!

翼の王国5月号の「お弁当の時間」は、やんばるの森から_c0402074_13183694.jpg
取材のあと、やんばるの森を通り、小野さんの案内で小さな集落へ。
キレイな虹にうっとりしていると、
ヤンバルクイナの鳴き声が、山のあちら側とこちら側から響いてきた。
姿は見せずとも、存在を教えてくれる。

やんばるの森を車で走る時には、
とにかくゆっくりスピードで。
特に、ちょうど今の季節は、ヤンバルクイナが子育て中で、
道路に出てくる確率も大きいので、ロードキルが発生しやすいのです。






by naomiabe2020 | 2020-05-11 13:43 | ライターの仕事 | Comments(0)

現在「3校」中。

自分の書いたものに、目を通している。
初校、再校、とこれまで2回、校正者さんが原稿を見てくれて、
これは3校目、最後のゲラチェック。
現在「3校」中。_c0402074_15032919.jpg
現在「3校」中。_c0402074_15034027.jpg
初校、再校の時、編集者のUさんと一緒に、
1ページずつめくりながら、言葉を確認し合った。
校正者さんの指摘、私が入れた赤字、Uさんの疑問、
それを、ちゃんと反映できるように、Uさんが丁寧にゲラに書き込んでくれた。


これまで、ずっとひとりで机にかじりついてきた。
仕事机の窓から見える、お隣りさんの柿の木を、いつも眺めてきた。
「あとがき」原稿であたふたしていた頃、新緑になり、
気付けば今、青々と茂っている。
この木は、秋になるとたんまりと実がなって、
鳥が来て実をつつく。紅葉して、散って・・・
それを、何度も何度もひとりで眺めながら、やっと書き上げた原稿だ。
いったい、何年越し?の初めての、書下ろしエッセイ。
自分自身の、これまでのことをようやく文章にできた。

ずっとひとりで、悶々と書いてきたものを、
編集者のUさんが同じ側にきてくれて、手を入れる作業を一緒にしてくれる。
本を作るなかで、何よりも幸せを感じる段階だ。

「キャンディーバー」って書いたけれど、それって何かわかります?
スニッカーズとかのことだけど。
え? キャンディーかと思った。飴じゃないの?
じゃあ、チョコレートバーってしたら、イメージつきますかねー。

そういうやりとりだって、嬉しいのだ。

どこに「、」を入れるか、
「かわいそう」を、漢字の「可哀想」にするか、
「達」は「たち」とひらがなで統一するかどうか。

ページをめくって、言葉の断片から思い出したことを振り返って、
Uさんと共有する。
そういう時間が、幸せだ。
なぜなら、ずっとひとりで書いてきて、何もかも自分の中に閉じ込めてしまっていたから。
孤独で、ある意味不安で、本当にこれを本にする意味ってある? と思えてくるから。

5月28日刊行の予定が、コロナの影響で6月11日刊行に。
岩波書店から「おべんとうの時間がきらいだった」

家族についての、記録。









by naomiabe2020 | 2020-05-04 16:09 | ライターの仕事 | Comments(0)

翼の王国 4月号

飛行機が、こんなに飛ばない日が来るなんて、考えたこともなかった。
「おべんとうの時間」の連載を始めて13年。
4月号は、大阪の人形劇団「クラルテ」の劇団員、高平和子さんに登場いただいた。

この連載をしていていつも嬉しいのは、
登場していただいた本人から「見たよーって、思いもよらない人から声をかけられちゃった」というような言葉。飛行機の上でたまたまページを開いたら、友達が弁当と一緒に写ってるじゃん、とか、
ご近所さんだ!みたいな状況って楽しい。

今はそういう機会が減ってしまって、残念だけど、
ネットでも見られるのです!


こちらで、みてくださいませ!!

本当だったら、高平さんは全国あちこち旅巡業の日々なのだけど、
今は、ほぼキャンセルの状況とのこと。

この状況が収束して、人形劇をみんなで楽しめる日が早く来て欲しい!!!






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by naomiabe2020 | 2020-05-01 14:18 | ライターの仕事 | Comments(0)

フリーライター阿部直美のブログ。カメラマンの夫とともに、「お弁当」を追いかけて日本全国を旅しています。日々のちょっとしたことを綴るブログです。


by 阿部直美