土と藁

原材料は土と藁。
まざりもの、なし。ホントに、それだけ。
機械を使わずに、人力でつくる。
人力とは、とにかく踏むことと叩くこと。
こんなにシンプルな動作はない。
さあ、なーんだ。
何を作っているのでしょうか。

こたえ。土俵。
昨日から、大相撲の五月場所が始まった。
ゴールデンウィークが明けてすぐの3日間、
両国の国技館に通った。

呼出しさんたちが、総勢で作る。
土を盛って、踏んで踏んで、木の道具で叩いて叩いて。
藁の俵に土を詰めて、サークル状に埋め込む。

あれを、毎場所ごとに作っては壊しているのかと思うと、
何だか気が遠くなりそうだ。

その向こう側には、土俵にする藁の俵を編む人がいる。
米を作って、天日干しして藁にする農家さんがいる。
まじりもののない、完璧な砂を用意する人がいる。
クワを、毎年焼き直しする鍛冶屋さんがいる。

ああ、すごい。

私はいまだ、興奮冷めやらずの状態で、
土俵を叩く、ペッタン、ペッタンという音が耳の奥に残ったままで、
祭りの只中にいる気分。
昨日の大相撲中継では、力士の足元ばかりに目がいった。
土俵際で踏ん張っていると、大丈夫だろうか、と土俵のことが気になる。
呼出しさんたちの姿ばっかり、追ってしまう。
私の、大相撲の楽しみ方。
















by naomiabe2020 | 2024-05-13 17:55 | ライターの仕事 | Comments(0)

フリーライター阿部直美のブログ。カメラマンの夫とともに、「お弁当」を追いかけて日本全国を旅しています。日々のちょっとしたことを綴るブログです。


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