たぬきの・・・・

四国の旅から、大事に大事に持ち帰ったもの。
それは、常温に置いておくとすぐに溶けてしまうらしい。
溶けたものを再び冷蔵して固めると、
匂いがきつくなるらしい。
・・・・というわけで、
旅の途中で手に入れたそれを、
持参していたクーラーボックスに入れて、
移動中、「道の駅」で手に入れた保冷剤を添える。
スーパーでは氷をもらって追加。
宿についたら、冷蔵庫の中に。
そこで保冷剤をキンキンに冷凍しなおして、
帰りの飛行機に乗る前には、もう一度スーパーに寄って氷をもらい、
とにかく「冷蔵キープ」で、我が家へ持って帰った。

さて、それは何でしょう。


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たぬきの脂(油)!
初めて知った。
やけどや傷、肌荒れにいいらしい。
試しに塗ったら、ぷわーんと少し香った。
「来た来たー、草むらにたぬきの親子がやってきたーって感じでしょ」
と、この脂を採取したMさんが笑わせてくれる。
たぬきの匂いってものを知らない私だけれど、
けもの臭? くらいはわかる。
でも、このMさんの脂は、特に臭いとも感じないし、
肌にすーっと伸びて、とてもいい感じなのだ。

Mさんが暮らしている場所は、四万十川の中流域のいわゆる山間地だ。
獣害が深刻で、わな猟が行われているなか、
たぬきやテンのような動物もわなに引っかかってしまう。
傷ついた動物は、そのまま殺して埋めてしまうわけだけど、
Mさんは、毛皮を剥いで丁寧に洗ってみた。
座布団がわりにお尻の下に敷くと、あったかい。
それを見た地域の人たちが、
「面白いことをしてるなあ」と感心して、人から人へ伝わって、
交通事故にあったり、わなにかかったたぬきやらの動物がいると、
ぞくぞくと、Mさんのところに持ち込まれて・・・・・

ちなみに、Mさん自身も猟師の免許を持っている。
たぬきの・・・・_c0402074_12053241.jpg
さて、ここまで読んだ方、
Mさんってどんな人? と思いますよね。

とってもチャーミングな女性です。
年齢は、私よりも若い40代前半!

高知では、「たぬきの脂」は結構知られているようで、
「道の駅」の冷蔵庫の片隅に、ちんまりと置かれていることも多いそう。
毛皮をそぎ落とした後に、脂をとって、
熱して液体にして、コーヒーを淹れる時に使う紙のフィルターで漉してから、
冷やして固めたものが、これ。

たぬきの肉は不味い、というのは前に聞いたことがあったのだけど、
Mさんは、この一連の作業をしていた時、たぬきの肉がキレイで特に匂いもなかったので、
ほんのひと切れ、フライパンで焼いてみたそうだ。
その途端、すごい匂いがして、ああやっぱり、と。

こういう話、一つひとつが面白くてたまらない。
Mさんは、手仕事の人なので、
こういう毛皮を剥いだり、脂を採取するようなことも、
本当に丁寧に丁寧にやっていて、ほれぼれしてしまう。

高知からほんのちょっと行った、愛媛県の山あい集落で、
たぬきの脂の話をしたら、
「えー、たぬきの脂なんて聞いたことない」と驚かれた。

うちの娘の肌荒れが、気になっていたので、
ぜひ使ってもらおう、と思っている母である。
でも、ゴールデンウィークは帰ってこないしなあ。

化学的根拠などはないというけれど、
元気がなかった人が、毎日ちょっとずつ舐めているうちに、
元気が出た、というのも聞いた。
私の更年期のもろもろにも、きいちゃったりして、
なんて思うのだけれど・・・・・。どうかな。





















by naomiabe2020 | 2023-04-24 14:11 | | Comments(0)

フリーライター阿部直美のブログ。カメラマンの夫とともに、「お弁当」を追いかけて日本全国を旅しています。日々のちょっとしたことを綴るブログです。


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