夕方、若い女性がそれはそれは熱心に写真を見てくれていた。
じーっと見て、離れて、また戻って。
その姿を見ながら、この人はどこでこの写真展のことを知って来てくれたのかな。
学生さんかな、会社員かな? だとしたら、どんな仕事をしているんだろう・・・・
と、私も想像を膨らませる。
写真展会場の入り口の椅子に座っていると、
いろんな出会いが待っているのだ。
その女性が、「ここにある写真ひとつひとつは、どれくらい一緒に過ごして撮っているんですか?」
というようなことを、会場にいたサトル君に質問した。
「1泊、2泊、3泊。その時々で違うけど、取材しながらこの昼ご飯の場面の写真も撮ってるんですよ」
彼女は、なんと高校3年生だった!
学校帰りに寄ってくれたとのこと。
本当に驚いてしまった。
目をキラキラさせながら、他にも写真のことをいろいろ質問してくれた。
テレビの「サラメシ」のことも、書籍の「おべんとうの時間」のことも、
たぶん彼女は知らなくて、
たまたま入った写真展会場で、
目の前にある写真を見て、感じるままに率直な気持ちや疑問を投げかけてくれたのだった。
「高校生なら、毎日お弁当ですよね」
「はい、たぶん今日が高校生活で最後のおべんとうの日でした」
なんと!
そのお弁当には、彼女の好きな唐揚げとうずらのベーコン巻きが入っていたとのこと。
お母さんは今日、どんな気持ちでお弁当を作ったのだろう、と思ってしまった。
ああ、早く今日も新宿へ行かねば。
ステキな出会いを、私もサトル君とともに味わいたい・・・
いそげー。


会場の裏のスペースでの、私たちの昼ごはん。

娘は近所で、うどんを買ってきた。

成人式を終えた娘は、大学のある地方の街へ帰ってしまった。
朝、台所で何かやっているなあ、と思ったら、
サトル君がこれを作っていた。
「持っていって、家で食べて」と、娘に手渡す。