お弁当甲子園

最近は、「○○オリンピック」とか「○○甲子園」が流行りだ。
この前、サトルさんが出たサラメシを見ていた時も、
従業員の方の口から出た言葉に、思わず笑ってしまった!
京都のしば漬けを作る作業場で、茄子に塩を振って全身を使ってかき混ぜていた。
夏の真っ盛りで、そうでなくとも暑い。
気持ちのいい汗をかけますよ、と言い、
自分たちにとっては、この作業は毎年の甲子園みたいなもんだ、というようなコメントだったと思う。
言った本人も、照れ臭そうに笑ってた。
見ているこっちも、思わず笑って頷いてしまう。
ちょっと違う気もするけど、すごくわかる気もする。
甲子園、という言葉は、本気度の高さが込められていて、
それくらい、真剣勝負ということだ。
そして、爽やかなかんじもする。

甲子園は甲子園でも、こちらは「お弁当甲子園」である。
ここ最近、来る日も来る日も応募作品と向き合い、
ようやく先日、審査を無事に終えた!

鎌倉女子大主催の「おべんとう甲子園」が、
今年で11回目を迎える。
僭越ながら、私たち夫婦も審査員として参加させてもらっている。
毎年、応募数が増えていき、
今年は1万件に届きそうな勢いだったというから、驚いてしまう。
嬉しい悲鳴とはこのことだ。

対象は高校生。
誰かのために実際に弁当を作り、写真に撮る。
お弁当に込めた想いを300文字以内で書く。
応募用紙に貼り付けて送るか、ネットで応募。


荒選考を通過した600点弱のなかから、直美賞とサトル賞も選ばせていただくのだが、
これは私たちの独断で決定できる。
きらり、と光る作品に出合いたいから、こちらも真剣だ。
本当に楽しい。

私は料理家でもないし、栄養学的な素養もないし、
主婦として大した料理の腕前もないのに、このような機会をいただいているのは、
ひとえに、弁当を撮りたいというモノ好きな夫がいて、
共に弁当を追い続けてきた20年、があるからだ。
我ながら、面白い歩みだと思うのだけれど、
料理に詳しくないからこその視点があるんじゃないかと思い、審査をさせてもらっている。
正直、私たちの手元にくるお弁当の数々は、
私の作る弁当よりも、ずっと凝っていて美味しそうだ。

でもまあ、そんななかでも、時々おや?と思うものがある。
夏バテの母へ作ったおにぎらずの具が、
「生ハム、チーズ、トマト、シソ」と書いてあったりして、
これは、ご飯の具に合うのだろうか。
まずくないか? 意外にいけるのか? と、頭の中がぐるぐるする。

そうかと思えば、
「ハムとチーズを交互に重ねて家族の絆をイメージしました」というおかずが登場する。
まさか、ハムとチーズにそこまでの思いが込められているとは・・・・・。
黄色いチャーハンを作った子は、
部活を頑張る弟に向けてエールを送る弁当だったと思うが、
黄色は光をイメージしていて、「光に包まれる」気分を弟に味わってほしい、というようなコメントだった。
へえ、とか、ほお、とか感心しながら文章を読ませてもらい、
味を想像する。

いつもお母さんは美味しい弁当を作ってくれるけれど、
自分の分は、あまったご飯をおにぎりにして持って行くだけ。
だから今回は、お母さんに作りました、
なんていうのを読むと、じーんときてしまう。
時々、ほろりとしてしまうこともった。
「おべんとう」なのに・・・・・。
家族が、垣間見えるからだ。
ちょっとしたコメントのなかに、いろんな家族が見えてくる。
高校生は、普段はそんな素振りも見せないのかもしれないが、
親、兄弟、おじいちゃんおばあちゃんの姿を見ていて、
心配したり、心を痛めたり、力になりたいと思っているのだなあ、ということが伝わってきた。
審査が終わってしまって、ちょっと寂しい。
来月の表彰式に、入選の生徒さんたちと会えるのが楽しみだ。

みなさん、応募ありがとうございました。
入選できるか、できないか、は問題じゃありません。
このお弁当を作ってもらった人は、そりゃあ嬉しいだろうなあ、
美味しかっただろうなあ、と想像しました。
全国のあちこちで、そんな時間が繰り広げられたと思うと嬉しい!

こちらは、前回のお弁当甲子園の結果です。
   ↓
https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/8175




by naomiabe2020 | 2022-10-19 12:06 | ライターの仕事 | Comments(0)

フリーライター阿部直美のブログ。カメラマンの夫とともに、「お弁当」を追いかけて日本全国を旅しています。日々のちょっとしたことを綴るブログです。


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