ゴールデンウィーク前半に、群馬の実家へ帰省。
母を連れて新緑を浴びに行く。
午後から天気が崩れる予報だったこともあって、
早め、早めの行動を心がけたのが吉と出た。

だーれも、いない。
3人で、鳥の声を聞きながらのんびり歩いていると、
「おーい」「大丈夫かー?」とすぐ近くで声がする。
見回しても、人の姿は見えない。
「おーい」「半分くらい、来られるかー?」
どこに、いるんだろう。
きょろきょろと見回して、びっくりした。
向こうの山のてっぺん辺りに、人のシルエットがある。
崖が切り立った山肌に、おもちゃみたいな人の姿。
じっと見ていると、ひとりが先に登り、もうひとりを待っている。
岩肌にへばりつくようにして、ロープを使って登っている様子。
まさか、この距離で? と思うが、
やっぱり、あのふたりの会話なのだった。
それくらいの静寂だった。
誰も他に喋る人のいない山。人工的な音もない。
風にのって、声が届く。
なんだか、神秘的でさえあった。
糸電話がつながっているみたいだ。

こうやって写真で見ると、さらに驚いてしまう。
あの山のてっぺんです。