地図が読めない女と男

私、地図見ながら逆に向かって歩いていっちゃうんですよー、
と、人には言ってきた。
えへへ、なんて笑っている時、たいがいは頼もしい相棒が隣にいて、
その人が携帯でグーグルマップとかを見ながら、私をどこかへ連れていってくれる。
考えてみれば、本当にいつも、誰かに頼ってここまできた。

ところが、昨日。
ひとりで、知らない場所に行くことにした。
取材をお願いしようかな、と考えてるお店を自分の目で実際に見に行こうと思った。
最寄り駅から徒歩4分、とある。
4分の距離ならば、ちょっとくらい迷っても、なんとかなりそうだ。
事前にグーグルマップを何度も見たけれど、さっぱりわからない。
まあ、行ってみれば何とかなるでしょ、と駅に到着。
駅にあった周辺の地図を見て、番地を確認して歩き出す。
でも、歩けど歩けど、番地が近づかない。
そのうち、丁目までが違ってきた。
道がくねくね入り組んでいるうえに、住宅街なのだ。もうお手上げ。
犬を散歩している女性に聞いてみるも、「知らない」とのこと。

もう一度、駅に戻る。ふりだしから。
こういう時は、交番だ。
駅前に交番があったじゃないか。

若いお巡りさんが、地図を広げてくれた。
でも、地図上の起点となる交番が、ページの端っこで、
私の行先は、ページをめくらないといけない。
ページをめくると、お巡りさんは方向感覚がおかしくなるようで、行先を見失う。
あれ? 何丁目何番地でしたっけ? を何度も繰り返し、
ページをいったりきたりしている時、
ああ、私と同じタイプだわー、と妙に親近感がわく。
横でパソコン仕事をしていた年上のお巡りさんが、「我々は、最近ここに来たばかりなもんで」
と、年下をフォロー。
私が、「郵便局がありますよね、それをどっち側に行けばいいでしょう?」
「あ、道の分岐点に大きなパン屋があったけど」と、かなりわかりやすい目印を伝えるも、
若いお巡りさんは地図とにらめっこ。
最後はまっすぐ立って、私の目をしっかりと見て、
「旧○○通りを、とにかくまっすぐ行ってください。ふたつめの信号、ですから。
その信号には○○って書いてあるはずですから、それを確認すれば大丈夫です!」
と言ってくれた。
「はい、どうもありがとうございます!」
そのまま、旧○○通りを歩く。
でもなあ、さっきもそうやって歩いたんだけど、途中でその道が住宅街に通じてわからなくなったんだよな、
と思いながら、また歩く。
それでまた、住宅街に入っていき、番地が全然違う。
タクシーを見つけたら、飛び乗っちゃおうかと思った。
ものすごく近いはずだけど、この際、番地を言って連れて行って欲しかった。

そこに、犬を散歩中の女性発見。
またもや、「○○ってお店を知ってますか。番地は○○で」と聞いてみると、
「ああ、知ってる。あれはね、踏切渡って向こう側なのよ。
線路を渡ったら、左側に歩いていけばあるわよ」

なんとまあ。
駅前交番は、線路の踏切の脇にある。
逆に向かって歩いていた。
お巡りさんも、逆の方向を指さした。
ふたりして、ものすごい方向音痴である。

女性に言われた通り歩いたら、すぐに目当ての店が見つかった!
なんてことはない、駅を起点に踏切を渡ってまっすぐ歩くだけ。
超簡単。

1時間以上うろうろしてしまった。
まあ、途中でパン屋を見つけてシナモンロールを買ったし、よしとするか。

それにしても、あのお巡りさんは、
何か急な呼び出しがあったら、ちゃんと行きつけるのかしら。
心配だ。
まずは、歩いて欲しいわ、自分の足で。

最近はみんながグーグルマップとかで、目的地に自力で行けるんだろうなあ。
だから、交番で道を聞く人って減っているはずだ。

ホントに、笑えない一日だった。
でも過ぎてしまえば、ああ自分って抜けてるよなあ、情けないなあ、と笑える。
苦手なんだから、仕方ない。
携帯に出てくる地図を見ると、頭の中がこんがらがるだけだ。
そもそも老眼で良く見えないし、大きくすると目的地も方向もわからなくなるし。

誰かに頼って生きて行こう。























by naomiabe2020 | 2021-11-21 12:29 | ライターの仕事 | Comments(0)

フリーライター阿部直美のブログ。カメラマンの夫とともに、「お弁当」を追いかけて日本全国を旅しています。日々のちょっとしたことを綴るブログです。


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