やってしまった!

明日は新潟だ~、と旅の準備を始めたのは夕方。
1泊なので、荷物はコンパクト。
服を選んでバッグに詰める・・・・・しゃがみながら、手を伸ばしたその瞬間、
ああああ、やってしまった!
腰に電流が走った。びりびりっと、強いのが駆け抜ける。
フリーズしたまま、問いかける。
やっぱり、あれだよね、やっちゃったよね。
ちょっとでも体を動かすと激痛が走るので、
そろーり、そろーり動いて、ひとまず椅子に腰かけた。
あまりのタイミングの悪さに、我ながら泣ける。
でもこういう時は、逆に笑えるもので、
へっぴり腰の自分の動きがおかしくて、笑ってしまい、
いててて、と悶える。

なんでいつも、おべんとうの取材ででかける直前に、ぎっくり腰をやっちゃうんだろう。
家で原稿を書いている日のほうが多いのに。
3回目である。

前にも書いたけれど、
1回目は、草津温泉の湯もみさんの取材の日の朝。
2回目は、北海道の獣医さんを取材する前日の夜。

夫婦で一緒に仕事をしていて良いところは、
妻がぎっくり腰になっても、取材に行けるというところだ。
ごめーん、箸より重いものは持てませーん、と堂々と言える。
撮影機材が山のようにあっても、全部ひとりで運んでね、と言える。
動くたび「あいててて・・・・」と、口に出して痛がれる。
ちょっと、あれ取ってくれる? と、下に落としたものも取ってもらえる。
ちょっと具合悪いから、寝てるわ、話しかけないでね、と言える。
これらのことに、罪悪感を感じない。

とまあ、夫ゆえに気を使わなくても済む。
写真を撮る人がぎっくり腰では仕事にならないが、
私の場合は、頭さえ冴えていれば大丈夫。なんとかなるのだ。

風邪やインフルエンザのような人に移してしまう病気の場合は、
決して無理はしない。
取材を延期する方法を選ぶ。
でも、そうでない場合には、極力こちらの都合で取材日を変えたくない。
これは、過去の経験でそう心に決めている。
人との出会いは、本当に縁だと思うし、タイミングというものが何よりも大切だと思うからだ。
その日を逃してしまったがゆえに、その人を取材できなくなる可能性だってある。

現に、草津温泉の取材の後、私の母が体調を崩して入院してしまって、
私はその後、群馬と東京を行き来することになった。
あの日に取材をしていなかったら、どうなっていたことか。

というわけで、新潟へ行く、と決めた。
身体をちょとずつ動かしているうちに、なんとかなりそうと思えた。
過去2回、なんとかなったんだから大丈夫、と自分に言い聞かせる。

痛み止めの薬を飲んで、新潟へ。
天気予報では雨マークだったのに、
実際の天気は、2日間とも太陽が見られた。

無事に帰ってきて、心の底からほっとしている。
なにより、今回もいい取材をさせてもらった。
楽しかった。いい時間だった!
出会ったみなさんの顔を思い出しながら、あまりにほっとして泣きそう。

近所の鍼の先生のところへ駆け込んだ。
「でんでん太鼓、ちゃんと毎日やらなきゃ」と言われる。
腕を腰のまわりにぶらぶらさせる、あの動きだ。
「腰にぶすっと鍼やるより、反対そくを使うからね」
ということで、左の腰が痛い私の場合、右側のいろんなところに鍼を打ってくれた。
なんというか、身体の中の渋滞がすーっと流れた感じだ。
鍼の先生には、いざという時、もう何年もお世話になっている。
最初の予約の時に、「いくらでしょうか」と聞くと「うちは、だいたいみんな、
40分の4千円コースかなあ」と言うので、「じゃあそれで」とお願いして、
以来何も言わなくても4千円なのだけれど、いつも1時間以上やってくれる。
私にだけでなく、たぶん皆に対してそうなのだ。
鍼のほかに、マッサージもやってもらって、
ああ、ありがたや~と帰る時には、「これ持ってって」
と、りんごまでいただいた。
前は、納豆をいただいたっけ。
そういう先生なのだ。

こういう絶体絶命、ピンチ!な時、
周りの皆さんの温かさが心に沁みる。
ああ、ありがたいわー。


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取材日の朝の風景。
山の麓に広がる雲海が、何とも幻想的だった!
取材でお世話になった方々、ありがとうございました!





























by naomiabe2020 | 2021-11-14 18:38 | ライターの仕事 | Comments(0)

フリーライター阿部直美のブログ。カメラマンの夫とともに、「お弁当」を追いかけて日本全国を旅しています。日々のちょっとしたことを綴るブログです。


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