なつかしの味

ずっと、食べたいと思っていたものがある。
いや、正確に言うと、娘に食べさせたいなあ、と思っていたもの。
それは、TACO!
タコス、ですね。

アメリカ留学中(高校生の時)、私のお世話になったハーリー家の夕食は、
結構な頻度で、TACOだった。
レタスを千切りにして、トマトをみじん切り。
チェダーチーズを大雑把にすりおろす。
牛肉を炒めてシーズニングを振りかけて味をなじませる。
とうもろこし粉でできたシェルをオーブンで温め、具材を挟んでいただく。
ひとり2個ずつくらい食べた。

でも、これだけではお腹がすくんだな。(だって、夕食だもの)
ごちそうさまの後に、アイスクリームを抱えて食べた。
チョコチップクッキーも食べた気がする。

昨年、エッセイを出版して、アメリカ留学時代のことをあれこれ思い出すうちに、
アメリカで食べたものが懐かしくなって、頭の中はTACOでいっぱいになっていた。

ようやく先日tacoシェルを見つけて、独特のスパイスのシーズニングもゲット。
本日、タコランチ、となった。
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まさしく、高校生の時以来!アメリカ以来!
牛肉の代わりに豚肉を炒めたのだけど、あの独特のスパイスの香りがメキシカンっぽくて懐かしく、娘は「これ、マジサイコー」と大喜びだった。
1人4個ずつ食べた!

アメリカ時代の食卓に思いを巡らす時、決まって思い出すことがある。
せっかくだから、何か日本の料理を作ってハーリー家の皆さんを喜ばせたい、と高校生の私は思った。
でも、日本でほぼ料理をしたことがなかった私には、何もアイデアがない。
カレーを作った。
ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、豚肉。まさしく王道のカレー。
ハウスバーモンドカレーのカレールーを日本から送ってもらったような気がする。
しかし、ルーの分量がわからない。
どれくらい、とろとろにすればいいのか。
「なあち、何作ってるの?」と聞かれても、「うふふ、内緒。食べてのお楽しみ」
なんて言いながら作ったものの、
いざ、いただきます、で皆が食べ始めた時の顔といったら・・・・
うむ・・・・・
あああ・・・・
うーん・・・・みたいな、首をひねるみたいな状態。
「なあち、これは、昔インドで食べたことのあるカリーという料理に似ている気がするけれど、
でも、違う気もするなあ」
とダッドが言い、私はこの目の前の料理をカレーと呼んだらいけない気がして曖昧に笑った。
なぜなら、美味しくなかった。
ルーが足りなくて、中途半端に汁っぽいカレーになっていた。
味見をしても、自分でよくわからなかったのだ。

それ以来、何かに挑戦しようなんて思わなくなった私は、
TACOとか、スパゲッティミートソース(肉と瓶のソースを合わせるだけ)とか、
ハーリー家の料理を手伝うことで、家族に喜んでもらうことにしたのだった。

ああ、TACOは私にとってほろ苦い青春の味。












by naomiabe2020 | 2021-01-17 16:16 | 食べること | Comments(0)

フリーライター阿部直美のブログ。カメラマンの夫とともに、「お弁当」を追いかけて日本全国を旅しています。日々のちょっとしたことを綴るブログです。


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