先週末、父の7回忌の法要を執り行った。
・・・と、ここで、法要というのは「執り行う」という言葉でいいのだろうか、とよくわからなくなって、
グーグルで調べたら、なんだか良さそうだ。
結婚式はあげる、だし、葬式を出す、と言うけれど、
7回忌は? である。
執り行う、なんて言っても、私たち家族は何もしていないのだ。
この夏、車の免許を返上した母から、「必要なものを持ってきてもらえる?」と頼まれ、
花、和菓子、果物、を買って帰省した。
そういうものが必要だ、というのもよく知らなかった。
菊の花束を近所の花屋で買い、菓子はこういう場合は洋菓子じゃだめだよ、まんじゅうとかがいいよ、
と母に言われていたので、和菓子屋に行ってきんつばや最中のような菓子を何種類か買う。(日持ちしそうなものを選ぶ)
果物は、我が家にはこの冬、いただきものの美味しい蜜柑とリンゴがいっぱいあるので、それを袋に入れる。
千疋屋などで見かける籠入りのフルーツセットを一瞬思い浮かべ、ああいうのが求められているんだろうか、
とも思ったが、父はそういうタイプではないし、お寺さんも群馬の田舎にあって住職さんはとても素朴な方なので、
見栄えは気にしないことに決め、近所のスーパーでラ・フランスを購入して加えた。
お寺さんには、洋菓子を手土産に。
コロナ禍でもあるし、父の兄弟は皆高齢なので、
7回忌は家族のみで。母と私、サトルくん、娘の4人でお寺へ行った。
祭壇に置いていただいた、私が持参した菓子と果物。
みかんが雪崩を起こしそうだった。
住職さんがお経をあげている間、奥の照明がチッカンチッカン、ついたり消えたりする。
これは演出か?と思ったら、どうも住職さんが手を動かしたりするたびに、反応するタイプの電気らしかった。
トイレでよくあるタイプと同じなのかしらん、などと思いながら、ついつい目で追ってしまう。
このお寺さんは、私が小学生の頃そろばんを習った場所でもある。
本堂は、まさしくそろばん塾だったのだ。
懐かしくて、あああそこに長机が並んでいたんだっけ、とか、
3部制で生徒がいっぱいいたんだよな、とか、
夏休みにはサマーランドに連れて行ってもらったよな、とか、いろいろ思い出す。
本堂の一角に机を並べ、そろばんの先生はよそから教えに来ていた。
それでもって、ピアノもこのお寺で習っていた。
住職さんのお姉さんが、ピアノを教えていたのだ。
当時の田舎の習い事といったら、そろばんとピアノが王道であった。
そのどちらも、このお寺で習えたのだからすごい。
ああそうだ。夏休みの朝のラジオ体操もここの庭でやったのだった。
父の墓をどうしようか、という時、母がこのお寺に相談をした。
うちは檀家ではなかった。
父と母は、私のようには、このお寺さんとのつながりはなかった。
長男でない父は、先祖代々の墓には入れないので自分で墓を建てねばならなかったが、私は一人娘ゆえ墓を継がない。
そこで母は、近所のこちらのお寺さんで永代供養をお願いすることに決めたのだった。
今、永代供養のお墓に父は眠っている。
まだ新しく建てたばかりのとても立派な墓の、2人目として名前を刻んでいただいた。
何年も、もう1人の方との2人状態が続き、最近になって墓じまいをしたらしい一族の名前も加わっていた。
私は、その墓をとてもいいなと思っている。
母は、良い選択をしたんだな、と思う。
父とふたりっきりの墓に、母は入りたくはなかったんだろう。
これまでの夫婦関係を思えば、その気持ちはわかる。
いろんな人たちがいるお墓の中に「おとうさん」と「自分」が紛れ込む。
いいじゃないか。
娘だから墓守りをしてもらえない、という理由じゃなく、母にとって共同の墓は最善策だったように思う。
家族は時に息苦しい。
でも、そこに誰かが加わることで、風通しが良くなって全く違ったものになるのだ。
父、母、私の3人家族にサトルくんと娘が加わって、私が生き返ったように。
墓に入ってから、父と母のふたりでいるよりも、
ご近所さんたちも加わって賑やかな場所のほうが、風通しもいいに決まってる。
帰省して墓参りをする時、私はいつも父と一緒に墓に入っている人たちのことも想う。
きっと何かの縁があって、ご一緒させてもらったんだなあと。
私自身は、血縁にこだわりがないのだ。むしろ、血のつながらない人との結びつきのほうをとる。
7回忌の法要の終わりに、住職さんがおっしゃった。
「お父さん、そういえばお刺身が好きだっておっしゃってましたよね。
息子さんと一緒に、魚を買いに行くのが楽しみだったって」
なんでも、お経を読みながら、急にそのことを思い出したのだそうだ。
ああ、父だ。
お父さん、ここに一緒にいたんだね、と思った。
ごめんよ、ごめん。
私ったら、そろばん塾のことやら、祭壇の電気のことやら、あれこれ考えていて、
お父さんのことをしんみりと思い出していなかった。
でも、娘なんてそんなものだ。
6年たって、私は本を出しましたよ。
おとうさんのこと、あけすけに書いちゃったよ。
7回忌は、とてもいい時間だった。
あのお寺さんでよかった。
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