取材で、信州の松本へ。
この数か月、取材を依頼すること自体が心苦しい。
特に東京都を離れて、地方へ行く場合はなおのこと。
マスクをして、距離を保ち(時々、会話に夢中になって近づいてしまう自分を、
おっと、いけない、と押しとどめながら)
手を洗い、とにかく体調管理に気をつけて。
それでも、どこか不安で、申し訳なさを抱えている。
松本へ行ったら、寄りたいところがあった。
縄手(なわて)通り商店街にある「矢澤たい焼き店」。
パワースポットと言われているらしい「四柱神社」のすぐ脇にある。
(神社を背にして、参道を出てすぐ右手)
「あんこ、下さい」と店先で注文すると、
懐かしい顔が。
「阿部です」と名乗ると、「・・・・???」のあと、
「あああ!」と、気づいていただく。
「お代はいいですよ」と言われて、
「いやいや、それはだめ」と、百円玉が行ったり来たりして、
最後は、おまけしてもらう。
コロナの影響で、いつもは賑わう通りに人がまばら。
エリコさんのたい焼き店も、今年は厳しい状況のようだった。
「私はたいやきを焼きたい!」と、エリコさん。
夫サトルは「僕は写真を撮りたい」である。
みんな、「○○したい」をぐっと飲みこみながら、何とか生きている。
実は、エリコさんはたい焼き屋さんのほかに、すごい一面を持っている。
「お神酒の口」を作るのだ。

江戸時代の末期に、武士の内職として作り始めたお神酒の口。
お神酒を入れる徳利にさす縁起物で、新年を迎える時に神棚に供える。
矢澤家は、代々3人体制で作ってきたのだが、
エリコさんのお父様が亡くなり、お母様と二人体制でこたつに座って向き合って手を動かすのが
秋から冬にかけての年中行事だ。
その取材を、以前させていただいた。
とにかく、美しいのだ。
お父様が亡くなった時、竹を用意する人がいなくなってピンチを迎えたが、
長野県内の竹職人との出会いで、なんとか切り抜けた。
そして今、高齢になったお母様の役割を、エリコさんが受け継ぐ時がきたようだ。
「母のやるのを覚えようと思ってるんだけど、ちょっと目を離したすきに、ちゃちゃっとやっちゃうから、
よくわからなくって」
と、エリコさんが笑っていた。
「この先、どこまでできるのかな」
今年も、来年も、そのあとも「お神酒の口」が年末の屋台に並ぶことを
心から祈っている。
久々に会えて、顔を見られて、本当に嬉しかった。
たとえマスクをしていて表情がよくわからなくても、ビニール素材越しのおしゃべりでも、
「コロナで大変すぎるー」とお互いに言い合って、
でも、何とかやってかなくちゃねーと言い合えて良かった。
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